2007年5月 9日

『終末のフール』 伊坂 幸太郎

 もし、8年後に小惑星が地球に激突すると決まったらどうしますか?あれから5年たった今を8つの短編で綴っている。伊坂ワールドらしい文体で楽しく読めたが、前半の短編が面白すぎて後半は失速気味。なるようにしかならない今をどう生きるか。現実味がないのでピンと来ないが面白い小説ではある。


終末のフール
終末のフール
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伊坂 幸太郎
集英社 (2006/03)

2006年10月18日

『重力ピエロ』 伊坂幸太郎

重力ピエロ
重力ピエロ
posted with amazlet on 06.10.18
伊坂 幸太郎
新潮社



 半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場近くに、スプレーによるグラフィティーアートが残されていることに気づく。連続放火事件と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し…。

 重いテーマを伊坂流と言うべきか明るいタッチで描かれてしかもテンポがいい。主人公の私よりも弟の春が魅力的な人物に仕上がっていて、それと父がいいスパイスになっている。面白いが、ただそれだけの本かもしれないと思ってしまった。

2006年10月17日

『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎

ラッシュライフ
ラッシュライフ
posted with amazlet on 06.10.17
伊坂 幸太郎
新潮社


 これぞ伊坂ワールドというべきか。最初の物語は「志奈子が」から始まり、次に「黒沢は」と始まり、3番目に「河原崎は」となって、4番目に「京子は」ときて、そろそろ話がつながってもと思っていると5番目に「豊田は」ときた。この5つの物語がどこかでリンクするのかを思って読み進めるがいっこうに交わらない。舞台となった仙台の街で近くにいるのだからどうにかなるかと思って読むがこれが話がめちゃくちゃ。と思っているとバラバラに並べたパズルのピースが一つ埋まるごとに話がつながって来るから面白い。最終的に5つの物語が全てつながるわけではないが、同時進行している物語だと思ってしまう固定観念を打ち破られて「あ~、そうなのか」と思わせる所がこの作品の面白い所かも。

2006年9月 6日

『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎

アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂 幸太郎
東京創元社 (2003/11/20)

吉川英治文学新人賞を受賞した人の作品は何故か好きになることが多いと言うこともあり読んでみた。『アヒルと鴨のコインロッカー』というなんともヘンテコなタイトルが付いているが、内容もちょっとヘンテコ。登場人物が全て個性的で会話が面白い。現在と過去の話を上手くリンクさせているので途中で謎が解明した時は「やられたぁ」と思ったね。最後まで読んで思ったのは喜怒哀楽の表現が希薄なところかな。悲しいはずなのにそうでもなくて、激しく怒るところなのに淡々として。これが、伊坂幸太郎の持ち味というのならそれはそれで面白いのかもね。