タイトルで読まなかったのですが、レビューを見たらまあ読んでもいいかなって思って。「うたう」とは「証言する」ということでこう書けばなるほどですね。ええ、もっと笑える話だと思っていましたが、かなりネガティブな内容です。現役の警察官が警察本部の不正を議会で証言するというところにポイントを置いて同僚の死からうたう警官が狙われるというストーリー。目新しさはないですが、テンポのいい話なのでサクッと読んでしまいました。
制服捜査というのは交番勤務の警察官の事。主人公の川久保篤巡査部長は道警の刑事だったが、転勤で志茂別駐在所に単身赴任で勤務。志茂別町は人口6000人の小さな街。この小さな街に様々な出来事が起きるが、駐在所勤務の川久保は捜査には加われない。捜査ができないジレンマと地域住民でつくる防犯との狭間で事件解決へのヒントを探る。捜査はできないが、駐在所勤務として地域住民との情報交換の中で犯罪の手がかりになるヒントを探してくる。
5つの短編からなる連作で最初に種まきをして、最後に刈り取るように出来ている。警察内部の不祥事とか、キャリアとノンキャリアの暗闘とか、派手な格闘シーンもない。淡々と話は流れるがこれまで読んだ警察小説と違って実に面白いと思った。
佐々木謙氏の作品と言えばこれまで、源義経が奥州に逃げたその後を描いた『駿女』、第二次世界大戦での零戦パイロットを描いた『ベルリン飛行指令』、幕末の幕臣・榎本武揚を描いた『武揚伝〈1〉』などを読んだがどれも面白かったな。いろんなジャンルに精通しているから凄い。これまで読んだ中では第二次世界大戦頃を書いた『ベルリン飛行指令』『ワシントン封印工作』『ストックホルムの密使』の3冊がとくに面白かった。
泉のさらに山奥深く糠部の地に育った馬の巧みな少女由衣。しかし従弟だと思っていた八郎丸が実は義経の落胤であったことから、頼朝の奥州平定の戦に巻き込まれ運命に翻弄されていく。
藤原泰衡が義経を襲った所から話が始まり、実は義経には落胤があったという話。奥州には古くから蝦夷と朝廷との戦いがあり、阿倍貞任と源頼義の戦いまでさかのぼる因縁の対決?とまではいかないが結構面白かった。